綺麗になる魔法

美容室に行った。実に半年ぶりだった。癖の強い髪の毛は四方八方に伸び盛り、まるで山に生える雑草のようだった。「お化けみたいだよ。」なんて母に言われた。毎日「早く切らなきゃ・・・」と頭の片隅で考えつつもお金がなくて行けていなかったのだが、ボーナスの時期が目の前に見えてきて、ようやく財布の紐が緩んでくれた。

なぜだか私は美容室に求める理想が高い。施術はもちろんのこと、心地いい内装でなければ嫌だし、働いている美容師さんの服装もお洒落であることが理想。

半年間もサロンに行かず、めちゃくちゃな髪をしていた女のくせに、何をそこまで完璧を求めているんだと自分でも思う。それでも、半年に一度の特別な日だからこそ、という表裏一体の思いがそこにはあるのだ。半年に一度しか美容室に行かない女にとって、高いお金を払い美容室に行くということは、まるで「美人になる魔法をかけてもらう」ような感覚なのだ。必然的に、美容室に求めるものも多くなる。必ず私を綺麗にしてもらいたいと行った要望。

それでも、私ももういい歳だ。身なりくらいはまともにしよう。髪が無法地帯のアラサーは想像しただけでしんどい。とりあえず、1ヶ月から2ヶ月に1回は美容室に行くことにする、という決意。

魔法をかけるための呪文くらいは自分で唱えなければ。あとは美容師さんがやってくれる。今日もしっかり綺麗にしてくれた。ありがとうございます。